税理士試験シリーズ「簿記論」。
第28回は、割賦販売の処理を確認していきます。
ポイントを丁寧に理解していくことが大切です。
では、始めましょう!
割賦販売とは
割賦販売とは、商品を引き渡した後に、
代金を分割払いで回収する販売のことをいいます。
割賦販売の会計処理
割賦販売をしたときの会計処理は、次のように行ないます。
商品を販売したとき
商品を引き渡したときに、「割賦売上」の勘定科目で収益に計上します。
未収となっている売掛金は、「割賦売掛金」の勘定科目で資産処理します。
(仕訳例)商品10,000円を割賦販売したとき
借 方 | 貸 方 |
割賦売掛金 10,000円 | 割賦売上 10,000円 |
代金を回収したとき
割賦販売の代金を回収したときは、商品引き渡し時に計上していた「割賦売掛金」を減少させます。
(仕訳例)代金のうち2,000円を現金で回収したとき
借 方 | 貸 方 |
現 金 2,000円 | 割賦売掛金 2,000円 |
割賦代金の金利部分の処理
割賦販売では、代金が後払いになるため
割賦販売の代金には、通常、金利部分が含まれています。
現行の収益認識基準では、金利部分が重要であると認められるときには
金利部分を商品の代金と区分して、時間の経過に応じて計上する必要があります(原則処理)。
(このときの金利部分を、「契約における重要な金融要素」といいます)
ただし、金利部分が重要と認められるときであっても、
商品引き渡しから代金回収までの期間が1年以内と見込まれる場合に限って
金利部分を商品の代金と区別せずに処理することも認められます(容認処理)。
金利部分が重要である場合の会計処理(原則処理)
たとえば、現金販売価格9,500円・割賦販売価格10,000円の商品を
割賦販売で売り上げた場合を見てみましょう。
このとき、金利部分は500円です。
この金利に重要性が認められる場合、原則処理では次のように仕訳をします。
(仕訳例)商品を引き渡したとき
借 方 | 貸 方 |
割賦売掛金 9,500円 | 割賦売上 9,500円 |
商品を引き渡した時点では金利が発生していないため、
金利部分を含まない金額で収益を計上します。
(仕訳例)代金を回収したとき(5回払いのうち1回目。金利部分は均等配分とする※)
借 方 | 貸 方 |
現 金 2,000円 | 割賦売掛金 1,900円 |
受取利息 100円 |
金利部分500円を5回の支払いに均等に配分(※)するため、
1回分の代金2,000円のうち100円を「受取利息」勘定で収益に計上します。
残りの1,900円が商品代金部分であり、「割賦売掛金」勘定の減少に充てます。
※ 金利の配分方法は均等配分のほか、利息法によることもあります。問題文の指示を必ず確認しましょう!
金利部分が重要である場合の会計処理(容認処理)
容認処理では、金利部分を商品代金と区別しないことが認められています。
容認処理による上の例の仕訳は、次のように行ないます。
(仕訳例)商品を引き渡したとき
借 方 | 貸 方 |
割賦売掛金 10,000円 | 割賦売上 10,000円 |
(仕訳例)代金を回収したとき(5回払いのうち1回目。金利部分は商品と区別していない)
借 方 | 貸 方 |
現 金 2,000円 | 割賦売掛金 2,000円 |
おわりに
いかがでしたか?
ざっと会計処理を確認したら、早めに計算問題にとりかかりましょう!
問題を繰り返し解いていると、解き方のパターンがどんどん身に付いてきます。
次回の記事も、引き続き特殊商品売買の処理を取り扱います。
ぜひご覧くださいね。
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