税理士試験シリーズ「簿記論」。
第26回は、期末における商品評価損の計上について確認します。
前回記事で確認した「棚卸減耗」の処理とセットで覚えておきましょう!
商品評価損とは
棚卸資産は、取得原価を帳簿価額とするのが原則。
ただし、期末において棚卸資産の価値が下がっているときには
「商品評価損」を費用計上して、帳簿価額を減額する処理を行ないます。
商品評価損の計算のしかた
商品評価損の額は、帳簿価額と「正味売却価額」との差額です。
「正味売却価額」とは、期末時点での売価(時価)から見積販売直接経費を差し引いた金額のこと。
具体的には
(期末における棚卸資産の実地棚卸数量) × (帳簿価額と正味売却価額との差額)
で商品評価損の金額を計算します。
帳簿棚卸数量ではなく、実地棚卸数量を基に計算するという点が大切。
すなわち、期末における棚卸減耗費と商品評価損の処理は、
棚卸減耗費を先に・商品評価損を後に
行なうことがポイントです。
商品評価損の仕訳のしかた
たとえば、取得原価200円の商品1個に一部破損があるため
期末における正味売却価額が150円と見積もられる場合、
決算整理仕訳で繰越商品を計上する処理をしたあとに、次の仕訳を行ないます。
(仕訳例)
借 方 | 貸 方 |
商品評価損※ 50円 | 繰越商品 50円 |
※「商品評価損益」勘定を使うこともあります。
原価処理をする場合の仕訳のしかた
商品評価損は、売上原価(=仕入)に含めて処理する場合があります。
この場合、商品評価損を計上したあと、商品評価損を仕入勘定に振り替える仕訳をします。
たとえば、上の仕訳例のケースでは
借 方 | 貸 方 |
仕 入 50円 | 商品評価損 50円 |
という仕訳を追加して、商品評価損の金額を仕入に含めることになります。
翌期首の洗替処理とは
期末に商品評価損を計上した場合、
翌期首に商品評価損を戻し入れる方法(洗替法)と
翌期首に商品評価損を戻し入れない方法(切放法)
があります。
どちらを選択するかは、簿記論の試験では、問題文の指示に従いましょう。
洗替法による洗替処理をする場合の仕訳は、次のように行ないます。
(仕訳例)
借 方 | 貸 方 |
繰越商品 50円 | 商品評価損戻入額※ 50円 |
※「商品評価損益」勘定を使うこともあります。
おわりに
いかがでしたか?
商品評価損の処理については、棚卸減耗の論点とあわせて、
計算問題をときどき(忘れたころに)解いておくと安心です。
では、次回もどうぞご覧くださいね。
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