【税理士試験/簿記論】基礎編㉒ 一般商品売買(3:自社ポイントと他社ポイント)

税理士試験シリーズ「簿記論」。

第22回は、収益認識基準に沿ったポイント制度の会計処理を取り上げます。

「契約負債」の勘定科目が特徴的です。確実に押さえましょう!

この記事でわかること

自社ポイントの会計処理

自社ポイントとは

自社ポイントは、商品やサービスを提供した際に、

自社の商品やサービスに利用できるポイントを付与するもの。

【将来において自社の商品やサービスを提供する】という履行義務を負うことが特徴です。

昔ながらのポイントカードにスタンプを押すものや、最近では専用アプリを利用するものも一般的。

自社ポイントの仕訳

先ほど見たように、

自社ポイントを付与すると、将来において商品やサービスを提供する履行義務を負います。

したがって、この履行義務を負債として認識し、計上しなければなりません。

そこで、認識すべき負債の額を算定するため、自社ポイントの独立販売価格を見積もります。

1ポイントを1円として使えるポイントであれば、

ポイント数=独立販売価格・・・かと思ってしまいますが、これは違います!!

自社ポイントが将来において利用される可能性を考慮して、独立販売価格を見積もる必要があるのです。

すなわち、

たとえば自社ポイントの付与残高が8,000円分(8,000ポイント)であっても

そのうち6,000円分しか使われないと見積もるなら、ポイントの独立販売価格は6,000円です。

(使わないまま期限切れになるポイント…、日常生活でもよくありますよね)

では、具体例を使って仕訳を見てみましょう。

(仕訳例)

10,000円の商品を販売し、自社ポイント3,000円分を付与。うち2,500円分が使用されると見積もったとき

借 方貸 方

現 金
10,000円
売 上
8,000円
契約負債
2,000円

ここで、売上8,000円、契約負債2,000円(2,500円ではない)となる点が重要!

これは、対価として受け取る10,000円を、

商品の販売価格10,000円と自社ポイント2,500円の比率で分ける計算を行なった結果です。

自社ポイントに対応する「契約負債」の額の計算式は、

対価10,000円×(自社ポイント2,500円/(商品10,000円+自社ポイント2,500円))。

商品の販売に対応する「売上」の額の計算式は、

対価10,000円×(商品10,000円/(商品10,000円+自社ポイント2,500円))です。

自社ポイントの独立販売価額をそのまま契約負債の額にしないように気を付けましょう!

他社ポイントの会計処理

他社ポイントとは

他社ポイントは、商品やサービスを提供した際に、

他社が発行するポイントを付与するもの。

楽天ポイントやdポイントなど、身近にある他社ポイントを例に

イメージしながら考えてみると理解がしやすいです。

他社ポイントの仕訳

ポイント加盟店が他社ポイントを付与すると、ポイント運営会社に対して

ポイントに応じた手数料(名目は色々)を支払わなければなりません。

そこで、他社ポイントの付与によって生じた要支払い額を「未払金」の勘定科目で計上します。

「売上」に計上する金額は、商品の販売価格から「未払金」の額を差し引いた額となります。

(仕訳例)

10,000円の商品を販売し、他社ポイント200円分を付与するため、ポイント運営会社に200円を支払うとき

借 方貸 方

現 金
10,000円
売 上
9,800円
未払金
200円

おわりに

いかがでしたか?

自社ポイントの処理では、

・自社ポイントの独立販売価格を見積もること

・見積もった独立販売価格をそのまま「契約負債」の額にしないこと(商品価格との比率で分ける)

の2点を覚えておきましょう!

では、また次回の記事でお会いしましょう~。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

この記事でわかること