税理士試験シリーズ「簿記論」!
第20回は、仕入と売上の会計処理を確認します。
これまで簿記検定などを学んできた方にとっては、おなじみの内容。
復習のつもりで確認していきましょう!
仕入と売上の仕訳
まずは、基本的な仕訳の確認です。
(仕訳例1)商品を80円で仕入れたときの仕訳
借 方 | 貸 方 |
仕 入 80円 | 買掛金 80円 |
(仕訳例2)仕訳例1で仕入れた商品を、100円で売ったときの仕訳
借 方 | 貸 方 |
売掛金 100円 | 売 上 100円 |
原価率・利益率・利益加算率とは
原価率・利益率・利益加算率を、
さきほど確認した仕訳例【80円で仕入れた商品を、100円で販売】のケースで確認してみましょう。
原価率
原価率は、売価に占める原価の割合です。
上の仕訳例の原価率は、【100分の80】=0.8(80%)です。
原価率には、
事前原価率(仕入れた商品の売価を決定した時点の原価率)
事後原価率(決定した売価から値引・割戻しを控除した後の売価による原価率)
の2種類があります。
利益率
利益率は、売価に占める利益の割合です。
上の仕訳例の利益率は、【100分の20】=0.2(20%)です。
利益加算率
利益加算率は、原価に加算する利益の割合です。
売価を設定するときに原価の何パーセントを加算するか、という値付け視点の率です。
上の仕訳例の利益加算率は、80円の原価に対して20円の利益を加算しているので
【80分の20】=0.25(25%)です。
返品・値引・割戻しの仕訳
返品・値引・割戻しがあったときは、売上または仕入の反対仕訳をして、取引を取り消します。
(仕訳例1)売上に対して、返品されたとき/値引をしたとき/割戻しをしたとき
借 方 | 貸 方 |
売 上 〇〇円 | 売掛金 〇〇円 |
(仕訳例2)仕入に対して、返品したとき/値引されたとき/割戻しを受けたとき
借 方 | 貸 方 |
買掛金 〇〇円 | 仕 入 〇〇円 |
※ 割戻しは、一定期間内に大量に商品を仕入れたときに行われる、代金の一部免除のことです。
割引の仕訳
割引は、代金の決済を期日より前にしたときに行なわれる、代金の一部免除のことです。
仕入に対して割引を受けたときは、「仕入割引」の勘定科目で収益に計上します。(受取利息と同じ性質)
上で確認した返品・値引・割戻しの処理(反対仕訳)とは異なる処理となるので、注意が必要です。
(仕訳例)買掛金80円を期日前に支払い、5円の割引を受けたとき
借 方 | 貸 方 |
買掛金 80円 | 当座預金 75円 |
仕入割引 5円 |
売上に対して割引をしたときは、売上の反対仕訳をして、売上額を取り消します。
(仕訳例)売掛金100円の支払いが期日前に行なわれ、10円の割引をしたとき
借 方 | 貸 方 |
当座預金 90円 | 売掛金 100円 |
売 上 10円 |
仕入れた商品を販売目的以外に使用したときの仕訳
仕入れた商品は、販売以外の用途で使用することがあります。
たとえば
・見本品として取引先に提供する
・備品として自社で使用する
など。
また、販売以外の原因で減少することもあります。
たとえば
・盗難に遭う
・火災で焼失する
など。
これらのケースでは、「仕入」の勘定科目から、他の勘定に振り替える仕訳をします。
(仕訳例1)80円で仕入れた商品を見本品として提供したとき
借 方 | 貸 方 |
見本品費 80円 | 仕 入 80円 |
(仕訳例2)80円で仕入れた商品を自社で備品として使用したとき
借 方 | 貸 方 |
備 品 80円 | 仕 入 80円 |
(仕訳例3)80円で仕入れた商品が盗難に遭ったとき
借 方 | 貸 方 |
商品盗難損 80円 | 仕 入 80円 |
(仕訳例4)80円で仕入れた商品が火災で焼失したとき
借 方 | 貸 方 |
火災損失 80円 | 仕 入 80円 |
おわりに
いかがでしたか?
次回も、商品売買の処理を取り上げます。
一緒に頑張っていきましょう~!
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