税理士試験シリーズ「簿記論」!
第8回は、「有形固定資産」についてお届けします。
簿記入門から慣れ親しんできた(?)減価償却、
税理士試験の範囲も、日商簿記検定と重なるところが多くなっています。
復習のつもりで、力を抜いて学習していきましょう。
有形固定資産の取得原価
有形固定資産の取得原価は、
購入価格に付随費用を加算した金額です。
付随費用とは、運送費、据付費、登録費用などをいいます。
損害保険料など使用期間に対応する費用は、取得原価ではなく、その使用期間の費用として計上します(期間費用)。
また、建設中の建物などの費用を前払いしたときは、「建設仮勘定」の勘定科目で計上します。
完成後、引き渡しを受けたときに、建設仮勘定から建物などの勘定科目に振り替え、取得原価とします。
減価償却の方法
代表的な償却方法は、定額法・定率法・級数法です。
定額法の計算のしかた
減価償却費 =(取得原価-残存価額)÷ 耐用年数
「÷耐用年数」の部分は、償却率として問題文で示される場合があります。
(例:5年の償却率は0.200)
その場合は、(償却原価-残存価額)に償却率をかけて計算します。
当期の使用期間が1年に満たないときは、月割計算をします。
残存価額が0円の有形固定資産の場合、最後の償却年度に未償却残高を1円だけ残しておき、
その資産を除却したときに1円を償却します。
定率法の計算のしかた
減価償却費 =(取得原価-期首減価償却累計額)× 償却率
償却率は、問題文で示されます。
毎期の未償却残高に償却率をかけて減価償却費を計算するため、
減価償却費が取得初期に大きく算出され、徐々に減少していく点が特徴です。
当期の使用期間が1年に満たないときは、月割計算をします。
200%定率法(新定率法)の計算のしかた
200%定率法は、平成24年4月1日以後に取得した固定資産に適用される定率法です。
この200%定率法では、「保証率」が示されるため、
まず、「保証率」を使って「償却保証額」を算出します。
償却保証額 = 取得原価 × 保証率
そして、減価償却費が「償却保証額」を下回るまでは、
通常の定率法と同様に減価償却費を計算します。
減価償却費 = (取得原価-期首減価償却累計額)× 償却率
定率法による減価償却費は、徐々に少なくなっていきますので、
その減価償却費が「償却保証額」を下回った年度以降は、
その年度の期首における残存年数で、その年度の期首における未償却残高を按分し、
均等償却を行ないます。
最後の償却年度に未償却残高を1円だけ残しておき、
その資産を除却したときに1円を償却します。
級数法の計算のしかた
減価償却費 =(取得原価-残存価額)×(当期項数÷総項数)
総項数は、耐用年数によって決まります。
総項数 = ( 耐用年数 ×(耐用年数+1))÷ 2
たとえば、耐用年数3年の総項数は、(3×4)÷2 = 6 です。
計算式の代わりに、次のような図を描いて総項数を求めることもできます。
3 | × | × |
2 | 2 | × |
1 | 1 | 1 |
(耐用年数3年の総項数は、数字があるボックスの数 = 6)
当期項数は、残存耐用年数です。
耐用年数3年の場合、
1年目の当期項数は3
2年目の当期項数は2
3年目の当期項数は1です。
したがって、この場合の級数法による減価償却費は
1年目:全体の償却費の6分の3
2年目:全体の償却費の6分の2
3年目:全体の償却費の6分の1
という推移で計上されていきます。
期中に取得した有形固定資産を級数法で償却するときは、
2つの当期項数でそれぞれ償却費を計算し、月割計算をしてから合算します。
おわりに
いかがでしたか?
減価償却の計算は、一度計算方法を理解した上で
定期的に最小限の練習問題を復習しておけば
確実に身につけられる分野です。
問題文の読み抜けがないように、気を付けていきましょう。
今回はここまでです。
次回もぜひご覧くださいね!
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