マイクロ法人を設立して、自分に給与を支払うときは、給与のなかから社会保険料(厚生年金保険料)や源泉所得税を天引きし、年金事務所や税務署に納付しなければなりなせん。
初めての給与を支払うときには、
「天引きの仕訳って、どう入力するんだろう?」
と思われるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
当記事では、代表者の報酬(給与)を支払ったときの社会保険料や源泉所得税の天引きの処理について、仕訳の具体例を紹介しながら解説していきます!
慣れれば簡単ですので、ぜひご確認くださいね。
天引きの仕訳は、2ステップで入力
給与から厚生年金保険料や源泉所得税を天引きして、後から年金事務所や税務署に納付するときの仕訳は、次の2ステップで入力します。
ステップ1:給与を支払ったときに、天引き額を「預り金」に計上
ステップ2:厚生年金保険料・源泉所得税を納付したときに「預り金」を減額
それでは、それぞれの仕訳の内容を具体例で確認していきましょう!
ステップ1 給与を支払ったときの仕訳
代表者の給与を支払ったときの仕訳は、借方に「役員報酬」を計上。
貸方に、天引きした金額を「預り金」に計上します。
天引き後の金額が実際の給与振込額となり、貸方に「普通預金」勘定や「現金」勘定の減額として処理します。
(仕訳例)
日 付 | 借 方 | 貸 方 |
2025/5/25 | 役員報酬 150,000円 | 預り金 24,500円 |
普通預金 125,500円 |
こちらは、
・代表者の月額報酬 150,000円から
・厚生年金保険料 22,350円 と 源泉所得税 2,150円 の合計 24,500円を天引きし
・残額 125,500円を、法人の普通預金口座から支払った
というケースの仕訳です。
借方の「役員報酬」は費用の勘定科目、
貸方の「預り金」は負債の勘定科目。
「普通預金」は、資産の勘定科目の減額です。
今回は法人の普通預金口座から給与を支払った例としていますが、現金や当座預金から支払ったときは、「普通預金」勘定の代わりに、それぞれに応じた勘定科目を使います。
ステップ2 厚生年金保険料・源泉所得税を納付したときの仕訳
給与から天引きした金額は、年金事務所や税務署に、期限までに納付します。
次は、天引きした厚生年金保険料・源泉所得税を納付したときの仕訳を、順に確認していきましょう。
厚生年金保険料を納付したとき
厚生年金保険料は、天引きした金額に会社負担分の金額を加算して、合計額を納付します。
会社負担分の金額は、「法定福利費」として計上します。
(仕訳例)
日 付 | 借 方 | 貸 方 |
2025/5/31 | 預り金 22,350円 | 普通預金 44,700円 |
法定福利費 22,350円 |
こちらは、
・代表者の月額報酬から天引きした厚生年金保険料 22,350円 と
・会社負担分の厚生年金保険料 22,350円 の
・ 合計44,700円を、法人の普通預金口座から年金事務所に納付した
というケースの仕訳です。
借方の「預り金」は負債の勘定科目の減額、
「法定福利費」は費用の勘定科目。
貸方の「普通預金」は、資産の勘定科目の減額です。
源泉所得税を納付したとき
源泉徴収した所得税を納付したときの仕訳は、次のように処理します。
(仕訳例)
日 付 | 借 方 | 貸 方 |
2025/6/10 | 預り金 2,150円 | 普通預金 2,150円 |
こちらは、
・代表者の月額報酬から天引きした源泉所得税 2,150円 を
・法人の普通預金口座から税務署に納付した
というケースの仕訳です。
借方の「預り金」は負債の勘定科目の減額、
貸方の「普通預金」は、資産の勘定科目の減額です。
特別徴収の個人住民税があるときの仕訳も、源泉所得税と同様に処理します。
おわりに
いかがでしたか?
給与から社会保険料などを天引きしたときの会計処理は、最初は面倒に感じるかもしれません。
でも、一度入力してしまえば、次の月からは入力方法も金額も基本的に同じ(※)。ルーティーン化してしまえば以外と簡単です。
事務処理はスムーズに終わらせて、安心して事業に取り組めるようにしたいですね。
当記事が事業者の皆様のお役に立てると嬉しく思います!
(※ 暦年や年度が替わったときの金額の変更には気を付けましょう)
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