【マイクロ法人】会社の設立前後の会計処理は?仕訳の流れを確認しよう(具体例あり)

 会社を設立したら、面倒でも、必ずしなければならないこと……

 それは、日々の取引の会計処理。

 今回の記事では、会社設立の前後に発生する取引の仕訳について、

具体例をあげながら解説していきます!

この記事でわかること

会社を設立するときに発生する取引とは?

 会社を設立するときに発生する取引の代表例は、たとえば次のようなものです。

定款作成費用の支払

資本金を代表者口座に振込

登録免許税の支払

印鑑購入代金の支払

法人口座を作成し、資本金を代表者口座から移動

 次の項目からは、これらの取引の会計処理(仕訳)について、具体例を確認していきましょう!

設立時の会計処理(仕訳)の具体例を確認

1 資本金を代表者の個人口座に振り込んだときの仕訳例

 会社を設立するときには、資本金を代表者の個人口座に振り込み、その通帳のコピーを設立登記時に法務局へ提出しなければなりません。

 資本金を代表者の個人口座に振り込む取引の仕訳は、次のようになります。

2025年4月1日付で、資本金100万円の法人を設立した場合

例1 3月25日、代表者個人口座に資本金100万円の振込みをしたときの仕訳例

日 付借 方貸 方摘 要
2025/4/1預け金
1,000,000円
資本金
1,000,000円
3/25
代表者個人口座

 法人の仕訳の処理は設立年月日から始まります。

 したがって、設立日より前に取引を行なった場合、仕訳上の日付は、設立年月日で入力します。

 借方の「預け金」は、資産の勘定科目。この時点では法人名義の口座ではなく、代表者個人名義の口座に資本金が入金されているため、代表者に預けている金額として仕訳をしています。

 このあと法人名義の口座を作成し、法人名義の口座に資本金を移動したときに、「預け金」勘定から「現金預金」勘定に振り替えます。

 しかし、すぐに法人名義の口座を作成できるめどが立っているときは、最初から「現金預金」勘定で計上しても問題はありません。

 貸方の「資本金」は、純資産の勘定科目。設立時に、資本金を法人に計上します。

 資本金の残高は、減資や増資・法人の清算などをしないかぎり、今後変わることはありません。

 摘要欄には、実際に振込をした日付と、代表者の個人口座に預けていることを記載しています。

 この記載はメモ的なもので、自分の管理しやすいように変更してかまいません。

2 会社設立のための諸費用を支払ったときの仕訳例(創立費)

 会社の設立より前に、会社設立のための費用を支払ったときは、「創立費」という勘定科目を使用して、次のように仕訳をします。

例2-1 4月1日、登録免許税60,000円を代表者が立替払いしたときの仕訳例

日 付借 方貸 方摘 要
2025/4/1創立費
60,000円
役員借入金
60,000円
4/1
登録免許税

 借方の「創立費」は、資産の勘定科目。

 貸方の「役員借入金」は、負債の勘定科目です。

 この例は、代表者が登録免許税をポケットマネーから支払ったときを想定しています。

 法人が負担すべき費用を代表者個人が立替払いした状態になっているので、法人は後日その金額を精算する必要があります。したがって、立替払いした金額60,000円を、役員借入金(負債)として計上します。

 なお、さきほど個人口座に入金した資本金100万円から60,000円を支払ったときは、役員借入金(負債)を計上するのではなく、さきほど計上した「預け金」(資産)を減額する仕訳となります。

 具体的には、次のような仕訳をします。

例2-2 4月1日、登録免許税60,000円を資本金入金口座から支払ったときの仕訳例

日 付借 方貸 方摘 要
2025/4/1創立費
60,000円
預け金
60,000円
4/1
登録免許税

 登録免許税以外にも、法人設立の前に支払った費用(定款作成費用、印鑑代金など)があるときは、同様に仕訳をします。

 たとえば、次のような形です。

例2-3 3月25日、印鑑セットを購入し、代表者が立替払いしたときの仕訳例

日 付借 方貸 方摘 要
2025/4/1創立費
**円
役員借入金
**円
3/25
印鑑セット

 「創立費」は、会社設立のための費用を会社設立より前に支払ったときに使用する、資産の勘定科目です。

 費用に計上するには、期末の決算時に、創立費を償却(費用化)する仕訳をしなければなりません。

 創立費の計上と償却の仕訳については、以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧くださいね。

3 資本金を代表者個人口座から法人口座に移動したときの仕訳例

 会社の設立が完了し、法人名義の銀行口座を作成したら、代表者の個人口座に入金していた資本金を、法人名義の口座に移します。

 このときの仕訳は、次のとおりです。

例3-1 資本金として入金した100万円を代表者個人口座から法人口座に移したときの仕訳例

日 付借 方貸 方摘 要
2025/4/20普通預金
1,000,000円
預け金
1,000,000円
**銀行
**支店

 借方の「普通預金」は、資産の勘定科目。

 貸方の「預け金」は、資産の勘定科目の減少を表します。

 この仕訳によって、「預け金」の残高はゼロになります。

 なお、上記の例2-2で預け金100万円から登録免許税60,000円を支払っていたときは、預け金の残高が既に(100万円ー6万円)の 94万円となっています。

 この場合、法人口座に移動する金額は預け金の残高である 94万円になり、仕訳も次のように変わります。

例3-2 資本金として入金した100万円から登録免許税6万円を支払った残高94万円を、法人口座に移したときの仕訳例

日 付借 方貸 方摘 要
2025/4/20普通預金
940,000円
預け金
940,000円
**銀行
**支店

 この仕訳によって、預け金の残高はゼロになります。

4 代表者が立替払いした諸費用を代表者に精算したときの仕訳例

 さきほどの例2-1では、登録免許税の支払いを代表者が立て替え、役員借入金を計上していました。

 この金額は、後日、代表者に対して法人の資産から支払(精算)をしなければなりません。

 法人口座から代表者に対して精算したときの仕訳は、次のようになります。

例4 法人口座から登録免許税の立替分60,000円を代表者に支払ったときの仕訳例

日 付借 方貸 方摘 要
2025/4/25役員借入金 60,000円普通預金 60,000円 **銀行

 この仕訳によって、普通預金の残高は94万円となりました。

 このように、設立時の費用を代表者が立替払いした場合と、預け金から支払をした場合とでは、仕訳の経過は異なりますが、最終的な普通預金の残高は同額になります。

 登録免許税のほかにも代表者が立て替えている経費があるときは、例4と同様の仕訳を行ないます。

おわりに

 いかがでしたか?

 会社の設立前後は、各所への手続きなどで忙しい時期。

 会計処理は後回しになりがちですが、忘れないうちに、なるべく早めに記帳しておくのがお勧めです。

 当記事が皆様のお役にたてると幸いです!

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