税理士試験シリーズ「簿記論」。
第29回は、未着品売買の処理を確認していきます。
理解や計算をするのに複雑なところはなく、論点も多くありません。
仕訳のパターンを覚えてしまいましょう!
未着品売買とは
遠隔地から商品を仕入れる場合、商品が手許に到着する前に
「貨物代表証券」を受け取ることがあります。
貨物代表証券は、運送中の商品に対する権利を証明する書類です。
いわば、運送中の商品の引換券のようなもの。
これを持っていると、仕入れた商品を受け取ることができるのはもちろんですが
仕入れた商品が届く前に、他社に貨物代表証券を転売することもできます。
この場合は、転売先の他社が商品を受け取ります。
このような、貨物代表証券を通じた一連の取引を「未着品売買」とよんでいます。
未着品売買の会計処理
未着品売買の会計処理を確認していきましょう。
貨物代表証券を受け取ったときの処理
貨物代表証券を受け取ったときは、「未着品」勘定を計上します。
「未着品」は、資産の勘定科目です。
(仕訳例)商品5,000円を発注し、この商品の貨物代表証券を受け取ったとき
借 方 | 貸 方 |
未着品 5,000円 | 買掛金 5,000円 |
商品を受け取ったときの処理
貨物代表証券に対応する商品を受け取ったときは、
「未着品」勘定を減額し、「仕入」勘定に振り替えます。
(仕訳例)貨物代表証券を受け取っていた未着品5,000円分が到着したとき
借 方 | 貸 方 |
仕 入 5,000円 | 未着品 5,000円 |
商品を受け取る前に貨物代表証券を転売したときの処理
商品を受け取る前に貨物代表証券を転売したときは、
「未着品売上」勘定で売上を計上します。
貨物代表証券を転売すると、商品を受け取る権利がなくなります。
このため、転売した貨物代表証券に対応する「未着品」(資産)勘定を減額する必要がありますが、
この「未着品」勘定の処理は
① 貨物代表証券を転売した都度行なう方法(その都度法)と
② 期末に一括して行う方法(期末一括法)
の2通りがあります。
順に確認していきましょう。
その都度法による処理
その都度法では、貨物代表証券を転売した都度、
「未着品売上」勘定を計上するとともに
「未着品」勘定を減額し、「仕入」勘定に振り替える処理をします。
(仕訳例)未着品5,000円分の貨物代表証券を6,000円で転売したとき
借 方 | 貸 方 |
売掛金 6,000円 | 未着品売上 6,000円 |
仕 入 5,000円 | 未着品 5,000円 |
期末一括法による処理
期末一括法では、
貨物代表証券を転売したときには「未着品売上」のみを計上し
期末に一括して、「未着品」勘定を減額し、「仕入」勘定に振り替える処理をします。
(仕訳例①)未着品5,000円分の貨物代表証券を6,000円で転売したとき
借 方 | 貸 方 |
売掛金 6,000円 | 未着品売上 6,000円 |
(仕訳例②)決算時、当期の未着品売上が仕訳例①の1件のみと確認したとき(決算整理仕訳)
借 方 | 貸 方 |
仕 入 5,000円 | 未着品 5,000円 |
その都度法と期末一括法は、処理のタイミングが違うだけで、仕訳の内容は同じです。
おわりに
いかがでしたか?
ざっと確認したら、すぐに計算問題に取り掛かってみましょう!
次回も、特殊商品売買のさまざまな形態を見ていきます。
ぜひご覧くださいね。
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