税理士試験シリーズ「簿記論」。
第23回は、商品売買の記帳方法を取り上げます。
簿記論の学習で普段使っている記帳のしかたは、「三分法」という方法です。
他にはどんな方法があるのでしょうか?
一緒に確認していきましょう!
記帳方法の種類
商品売買の記帳方法には、いつも使っている「三分法」のほかに、
・分記法
・総記法
・売上原価対立法
があります。
「三分法」の記帳のしかた
まずは、復習をかねて「三分法」の記帳を確認しましょう。
「三分法」では、「仕入」、「売上」、「繰越商品」という3つの勘定科目を使います。
(期首)
「繰越商品」の借方残高 50円 |
(仕入時) 商品100円を仕入
借 方 | 貸 方 |
仕 入 100円 | 買掛金 100円 |
(販売時) 商品120円を販売(原価80円)
借 方 | 貸 方 |
売掛金 120円 | 売 上 120円 |
(決算時) 期末商品棚卸高 70円
借 方 | 貸 方 |
仕 入 50円 | 繰越商品 50円 |
繰越商品 70円 | 仕 入 70円 |
三分法では、「仕入」の勘定科目で当期の売上原価を計算します。
このため、決算時には
期首の棚卸高(=「繰越商品」勘定の期首残高)を「仕入」勘定に振り替えて
期末の棚卸高を「仕入」勘定から「繰越商品」勘定に振り替える
という仕訳を行ないます。
「分記法」の記帳のしかた
次に、「分記法」を確認しましょう。
「分記法」では、「商品」と「商品販売益」という2つの勘定科目を使います。
商品を販売したときに、売上の金額を「商品」勘定と「商品販売益」勘定に分けて記帳するのが特徴です。
(期首)
「商品」の借方残高 50円 |
(仕入時) 商品100円を仕入
借 方 | 貸 方 |
商 品 100円 | 買掛金 100円 |
(販売時) 商品120円を販売(原価80円)
借 方 | 貸 方 |
売掛金 120円 | 商 品 80円 |
商品販売益 40円 |
(決算時)
仕訳なし |
※「商品」の借方残高 70円
分記法では、「商品」勘定の借方残高が、商品棚卸高と常に一致します。
(棚卸減耗などを除く)
期中の取引を記帳する都度、商品の棚卸高と販売益が更新されていくため
三分法のような決算整理仕訳は行ないません。
「総記法」の記帳のしかた
「総記法」では、
商品を仕入れたときには原価で「商品」勘定の借方に記帳し
商品を販売したときには売価で「商品」勘定の貸方に記帳します。
決算時に当期の販売益をまとめて「商品販売益」勘定に計上します。
期中の仕訳では、「商品」勘定を借方に原価・貸方に売価で記帳しているので
決算整理仕訳で「商品販売益」の金額を「商品」勘定の借方にも記帳することで
期中に販売された「商品」の借方金額(原価+商品販売益)と貸方金額(売価)を相殺し
「商品」勘定の借方残高が期末商品棚卸高を表すように修正します。
(期首)
「商品」の借方残高 50円 |
(仕入時) 商品100円を仕入
借 方 | 貸 方 |
商 品 100円 | 買掛金 100円 |
(販売時) 商品120円を販売(原価80円)
借 方 | 貸 方 |
売掛金 120円 | 商 品 120円 |
(決算時)
借 方 | 貸 方 |
商 品 40円 | 商品販売益 40円 |
※ 「商品」の借方残高 70円
「売上原価対立法」の記帳のしかた
「売上原価対立法」では、「商品」、「売上原価」、「売上」という3つの勘定科目を使います。
商品販売時に、三分法と同様に「売上」を計上することとあわせて
「商品」勘定を「売上原価」勘定に振り替えます。
(期首)
「商品」の借方残高 50円 |
(仕入時) 商品100円を仕入
借 方 | 貸 方 |
商 品 100円 | 買掛金 100円 |
(販売時)商品120円を販売(原価80円)
借 方 | 貸 方 |
売掛金 120円 | 売 上 120円 |
売上原価 80円 | 商 品 80円 |
(決算時)
仕訳なし |
※「商品」の借方残高 70円
商品を販売する都度、「商品」勘定が「売上原価」勘定に振り替えられるため
「商品」勘定の借方残高が、商品の棚卸高と常に一致します。
(棚卸減耗などを除く)
おわりに
いかがでしたか?
「総記法」の記帳のしかたが独特なので、すぐにはしっくりこないかもしれません。
他の論点とは直接かかわりのない論点なので、
今理解しづらいと感じたら、後からチェックすることにして
いったん先に進んでしまうのも一つの手です。
一緒に頑張っていきましょう~!
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