【税理士試験/簿記論】基礎編⑯ 無形固定資産(2:ソフトウェア)

税理士試験シリーズ「簿記論」。

第16回は、ソフトウェアの会計処理を確認します。

無形固定資産の代表格ともいえる、ソフトウェア。

制作目的によって、処理方法が異なることに注目しましょう!

では、スタートです。

この記事でわかること

ソフトウェアの区分とは

ソフトウェアは、制作目的の異なるごとに、次のように区分されます。

研究開発目的のソフトウェア

自社利用目的のソフトウェア

販売目的のソフトウェア(市場販売用と、受注制作の2パターンあり)

研究開発目的のソフトウェアの会計処理

研究開発目的のソフトウェアの制作・取得にかかった費用は、

当期の「研究開発費」(費用)の勘定科目で処理します。

自社利用目的のソフトウェアの会計処理

自社で利用するためのソフトウェアの制作・取得にかかった費用は、

無形固定資産に計上する場合と、費用に計上する場合の2パターンがあります。

無形固定資産に計上する場合は、期末の減価償却の対象になります。

取得時の処理

自社で利用するためのソフトウェアの制作・取得にかかった費用は、

① 将来の収益獲得または費用削減が確実なものは「ソフトウェア」(無形固定資産)の勘定科目で処理

② 上記以外のものは発生時の費用

として処理します。

なお、代金を前払いしたときは、「ソフトウェア仮勘定」の勘定科目で処理します。

また、初期設定や仕様変更などの付随費用も、取得原価に加算して「ソフトウェア」勘定に計上します。

取得後の処理(減価償却など)

無形固定資産に計上したソフトウェアは、原則として5年以内に定額法で減価償却を行ないます。

(仕訳例)

借 方貸 方
ソフトウェア償却
〇〇円
ソフトウェア
〇〇円

無形固定資産に計上したソフトウェアを廃棄したときは、

廃棄時点の帳簿価額を「ソフトウェア廃棄損」勘定で処理します。

(仕訳例)

借 方貸 方
ソフトウェア廃棄損
〇〇円
ソフトウェア
〇〇円

市場販売目的のソフトウェアの会計処理

市場で販売するためのソフトウェアの制作・取得にかかった費用は、

その制作段階によって処理の方法が異なります。

研究開発段階で生じた費用

製品マスターが完成するまでにかかった費用は、

当期の「研究開発費」の勘定科目で処理します。

製品マスター完成後に生じた費用

製品マスターが完成した後にかかった費用のうち、

① 機能の改良および強化に要した費用は、「ソフトウェア」の勘定科目で処理します。

② 著しい改良に要した費用は、当期の「研究開発費」の勘定科目で処理します。

③ 維持管理(バグ取りなど)に要した費用は、当期の費用(科目名は適宜)として処理します。

④ 製品マスターを複写して販売用製品を作成するために要した費用は、「仕掛品」(資産)の勘定科目で処理します。

完成後の処理(減価償却など)

無形固定資産に計上したソフトウェア(上記①)は、

見込販売数量または見込販売収益に基づいて減価償却を行ないます。

計算式は

償却額 = 未償却残高 × (当期の販売実績/当期首における見込販売数量または見込販売収益)

です。

ただし、残存有効期間(原則3年以内)によって計算した均等配分額(未償却残高÷残存有効期間)を下回らない金額とします。

償却額は、「売上原価」に計上します。

(仕訳例)

借 方貸 方
売上原価
〇〇円
ソフトウェア
〇〇円

受注制作のソフトウェアの会計処理

受注制作のソフトウェアは、工事契約の会計処理と同様に、収益認識基準に基づいて処理します。

すなわち

① 進捗度に基づいて収益を認識(原則)

② 完全に履行義務を充足した時点で収益を認識(制作期間が短い場合のみ容認)

③ 原価回収基準(進捗度が見積もれないが、かかった費用は回収できると見込まれる場合)

のいずれかにより、【売上の計上(収益の認識)】と【売上原価の計上】を行ないます。

(仕訳例①)制作費用発生時

借 方貸 方
仕掛品
〇〇円
現 金
〇〇円

(仕訳例②)収益認識時

借 方貸 方
売上原価
〇〇円
仕掛品
〇〇円
売掛金
××円
受注売上高
××円

おわりに

いかがでしたか?

パターンごとに整理して、一つ一つ着実にクリアしていきましょう。

頭のなかのゴチャゴチャした感じがなくなると、自信がつきますよ。

次回も、どうぞお楽しみに。

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