【税理士試験/簿記論】基礎編⑭ リース取引(2:セール・アンド・リースバック取引)

税理士試験シリーズ「簿記論」

第14回は、セール・アンド・リースバック取引の会計処理を学習します。

昨今では、不動産のリースバック取引にかかわる問題がニュースで取り上げられることも。

このように、一般消費者にも馴染みの出てきた取引形態。

簿記上の論点は少ないので、身構えずに確認していきましょう。

この記事でわかること

セール・アンド・リースバック取引とは

セール・アンド・リースバック取引とは、

所有している物件を相手に売り、その売った物件をそのまま借りる取引です。

たとえば、所有している自宅を不動産会社に売って、その物件を、そのまま借りる取引。

この取引では、まず自宅の売却代金を受け取ることができるため、まとまった資金を得ることができます。

また、売却した自宅を借りることで、引き続き住み続けることができます。

このように、セール・アンド・リースバック取引には、

① 物件の使用を継続しつつ

② まとまった資金を調達できる

という効果があります。

セール・アンド・リースバック取引の会計処理

セール・アンド・リースバック取引の会計処理は、

リースバックの取引がオペレーティング・リースに該当する場合と、

ファイナンス・リースに該当する場合とで異なります。

リースバック取引がオペレーティング・リースに該当するときの処理

リースバック取引がオペレーティング・リースに該当する場合は、

通常の固定資産の売却と、固定資産の賃貸借がそれぞれ行われたものとして処理します。

(仕訳例)固定資産を売却したとき

借 方貸 方
現 金
3,000,000円
建 物
5,000,000円
建物減価償却累計額
3,000,000円
固定資産売却益
1,000,000円

(仕訳例)リース料を支払ったとき

借 方貸 方
支払リース料
100,000円
現 金
100,000円

リースバック取引がファイナンス・リースに該当するときの処理

リースバック取引がファイナンス・リースに該当する場合は、

固定資産の売却にともなう売却益または売却損を

「長期前受収益」(負債)または「長期前払費用」(資産)の勘定科目で処理します。

固定資産売却の仕訳

(仕訳例)固定資産を売却したとき

借 方貸 方
現 金
3,000,000円
建 物
5,000,000円
建物減価償却累計額
3,000,000円
長期前受収益
1,000,000円

リース資産の計上およびリース料の支払いの仕訳

リースバックされた資産に関する仕訳は、ファイナンス・リース取引の仕訳に準じて処理します。

リース資産として計上する額は、

所有権移転ファイナンス・リース取引に該当する場合は固定資産の売却価額

所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する場合は、固定資産の売却価額とリース料総額の割引現在価値のいずれか少ないほうの額とします。

(仕訳例)リース契約を開始したとき

借 方貸 方
リース資産
3,000,000円
リース債務
3,000,000円

(仕訳例)リース料を支払ったとき

借 方貸 方
支払利息
10,000円

現 金
100,000円
リース債務
90,000円

支払利息の配分など、ファイナンス・リース取引の処理については前回の記事で説明していますので、

不安があるかたは復習しておきましょう!

決算時の仕訳(減価償却)

リース資産の減価償却の仕訳をします。

資産を売却したときに計上した「長期前受収益」または「長期前払費用」を

減価償却の割合に応じて取り崩し、減価償却費の額に加減算します。

所有権移転ファイナンス・リースに該当するときは、原則として、残存価額は売却前の取得価額による残存価額を引き継ぎます。

(この場合、加減算後の減価償却費と固定資産売却前の減価償却費が同額となります)

(仕訳例)上記の例で、リース資産の残存価額が50万円・使用可能期間が10年の場合

借 方貸 方
減価償却費
250,000円
減価償却累計額
250,000円
長期前受収益
100,000円
減価償却費
100,000円

おわりに

いかがでしたか?

記憶があやふやな部分は、前回の記事「基礎編⑬ リース取引1」を確認してみてくださいね。

次回からは、無形固定資産の処理を確認します。

おたのしみに~!

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この記事でわかること