税理士試験シリーズ「簿記論」、
第11回は、有形固定資産に対する改良や修繕を行なったときの処理
「収益的支出」と「資本的支出」の取扱いを確認します。
今回も複雑な内容はありませんので、気楽に進めていきましょう。
それでは、始めましょう~
資本的支出と収益的支出とは
有形固定資産に対して何らかの改良工事や修繕をしたとき、
そのために支出した金額は
① 有形固定資産の増加・耐用年数の延長を生み出した部分
と
② 単なる修繕・維持管理の部分
に区別します。
上記①の価値の増加に寄与した部分の金額を「資本的支出」
上記②の単なる維持管理に要した部分の金額を「収益的支出」
といいます。
それぞれの会計処理は?
資本的支出の会計処理
資本的支出の金額は、有形固定資産の価値を増加させるので、
有形固定資産の取得価額に加算します。
また、資本的支出によって耐用年数が延長したときは、
以後の減価償却を、新たな耐用年数に基づく残存耐用年数で行ないます。
(問題文の指示により、当初耐用年数を継続して使用するケースもあります)
収益的支出の会計処理
収益的支出の金額は、単なる維持管理の費用なので、
「修繕費」の勘定科目で費用計上します。
資本的支出と収益的支出の区分計算の方法
ひとつの工事に資本的支出の部分と収益的支出の部分が含まれていて
内訳が不明な場合は、次の計算式により便宜的に金額を区分します。
価値が増加した場合の計算式
資本的支出 = 支出後の時価 - 支出前の時価
工事による時価の増加額を、資本的支出として有形固定資産の帳簿価額に加算します。
支出額から資本的支出の額を差し引いた残りが収益的支出です。
耐用年数が延長された場合の計算式
資本的支出 = 支出額 ×(延長耐用年数 ÷ 延長後の残存耐用年数)
支出額に、残存耐用年数のうちに延長部分の耐用年数が占める割合をかけて
資本的支出の金額を算定します。
支出額から資本的支出の額を差し引いた残りが収益的支出です。
おわりに
資本的支出と収益的支出の取扱いは、考え方も処理もシンプルなのですが
簿記科目では頻出の論点です。
また、実務でしばしば発生する(かつ、金額が大きいので重要な)処理でもあります。
確実に内容を押さえておきましょう!
次回は、圧縮記帳についてお届けします。
ぜひご覧くださいね~。
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