【税理士試験/簿記論】基礎編⑦ デリバティブ取引(2:ヘッジ会計)

税理士試験シリーズ「簿記論」!

第7回は「ヘッジ会計」の処理を確認します。

覚えることは少なめです!

立ち止まることなく、たんたんと進めていきましょう。

この記事でわかること

ヘッジ取引とは

リスクヘッジの「ヘッジ」です。

ヘッジ取引とは、対象物(金利、為替など)の変動リスクを回避するための手段として行なう

デリバティブ取引のことをいいます。

ヘッジ会計とは

ヘッジ会計とは、

【ヘッジ対象物の損益】と

【ヘッジ手段(デリバティブ取引)の損益】を同一会計期間に計上し、

ヘッジ取引の効果を企業会計に反映させるための会計処理をいいます。

ヘッジ会計の方法は2種類

「繰延ヘッジ」「時価ヘッジ」という2つの方法があります。

繰延ヘッジとは

ヘッジ手段として使われるデリバティブ取引は、期末において時価評価されます。

繰延ヘッジでは、

・時価評価されるヘッジ手段(デリバティブ取引)の損益を

・ヘッジ対象物の損益が認識されるまで

・「繰延ヘッジ損益」として純資産の部に計上する

という会計処理を、期末に行ないます。

(仕訳例)※税効果会計を適用します。

借 方貸 方

先物取引差金
××円
繰延税金負債
××円
繰延ヘッジ損益
××円

翌期首には、洗替処理を行ないます。

また、ヘッジ対象の決済時には、

ヘッジ対象の決済によって生じた損益の勘定と同じ勘定科目で

ヘッジ手段の損益を計上します。

時価ヘッジとは

時価ヘッジとは、繰延ヘッジとは逆に、

期末において

ヘッジ対象物を時価評価して損益に計上する

方法です。

(仕訳例)※ヘッジ対象物である「その他有価証券」の評価差額を損益に計上する場合

借 方貸 方
投資有価証券
××円
投資有価証券評価損益
××円
投資有価証券評価損益
××円
先物取引差金
××円

上記の仕訳では、1行目がヘッジ対象物の時価評価、

2行目が、ヘッジ手段である先物取引の時価評価を表しています。

時価ヘッジは、ヘッジ対象物が「その他有価証券」であるときに限り適用できます。

時価ヘッジを適用する場合、「その他有価証券」の評価差額は

純資産直入法による会計処理ではなく、

「投資有価証券評価損益」勘定を用いて当期の損益に計上することに注意が必要です。

ヘッジ対象の決済時の処理は、繰延ヘッジと同様に

ヘッジ対象の決済によって生じた損益の勘定と同じ勘定科目で

ヘッジ手段の損益を計上します。

補足 金利スワップに対するヘッジ会計の特例処理

金利スワップ取引をヘッジ手段として行なっている場合、

一定の条件を満たすと「特例処理」を適用できます。

特例処理では、期末における金利スワップ取引の時価評価を省略します。

したがって、特例処理を適用する場合、期末の仕訳は不要になります。

おわりに

いかがでしたか?

デリバティブ取引は、とっつきにくい雰囲気に気圧されそうになりますが

実際に仕訳を書いてみると、そこまで複雑なものではありません。

問題をじっくり読んで、冷静になって取り組みましょう。

次回からは、固定資産についてお届けする予定です。

ぜひ、おたのしみに。

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