【税理士試験/簿記論】基礎編③ 有価証券について(1:保有目的による区分)

税理士試験シリーズ「簿記論」!

第3回は、「有価証券」の処理を取り上げます。

保有目的ごとに区分して、簡潔に、分かりやすく。

頭の中を、すっきりと整理しましょう。

それでは、スタートです!

この記事でわかること

有価証券は保有目的で4種類に区分

有価証券は、その保有目的ごとに、次の4つの区分に分類されます。

1 売買目的有価証券

2 満期保有目的の債券

3 子会社株式・関連会社株式

4 その他有価証券

売買目的有価証券の処理

売買目的有価証券は、「有価証券」の勘定科目で処理します。

貸借対照表価額は、「時価」です。

(決算時の仕訳例)××円の評価益があるとき

借 方貸 方
有価証券 ××円有価証券評価損益 ××円

貸方の「有価証券評価損益」は、有価証券売却損益、受取配当金、有価証券利息とあわせて「有価証券運用損益」勘定を使う場合があります。

評価は、洗替方式と切放方式のいずれも認められています。

洗替方式を採用しているときは、翌期首に反対仕訳をします。

満期保有目的の債券の処理

満期保有目的の債券は、「投資有価証券」の勘定科目で処理します。

貸借対照表価額は、「償却原価」です()。

債券を額面金額と異なる価額で取得した場合で、その差額が金利調整差額であると認められるとき。

差額がないとき・差額が金利調整差額であると認められないときは、「取得原価」です。

償却原価法の計算方法(利息法)

償却原価は、償却原価法で計算します。

償却額は、「有価証券利息」勘定で処理します。

償却額の計算方法には、「利息法」と「定額法」の2つがあります。

利息法は、次の3段階の手順で償却額を計算します。

① 帳簿価額に実効利子率をかけて、当期の利息配分額を計算

② 債券の額面金額にクーポン利子率をかけて、クーポン利息額を計算

③ 利息配分額からクーポン利息額を引いて、当期の償却額(帳簿価額に加算する額)を計算

利息法による償却額の計上は、利払い日に行ないます。

償却原価法の計算方法(定額法)

定額法では、金利調整差額を満期まで毎期均等に償却します。

償却額の計算式は、

【金利調整差額(額面金額-取得価額)】×【当期の月数/取得から償還までの月数】

です。(平たく言うと、取得と額面の差額を、取得から償還までの月数で按分)

定額法による償却額の計上は、期末の決算整理仕訳で行ないます。

子会社株式・関連会社株式の処理

子会社株式は、株式を50%超保有している会社の株式。

関連会社株式は、子会社ではないが、株式を20%以上保有するなどして、その会社の決定に対して重要な影響を与えることができる会社の株式をいいます。

子会社株式と関連会社株式は、「関係会社株式」の勘定科目で処理します。

貸借対照表価額は、「取得原価」です。

したがって、期末の会計処理は不要です。

その他有価証券の処理

その他有価証券は、上記の3種類の区分に当てはまらない有価証券をいいます。

具体的には、長期的な値上がりを期待して保有する有価証券や、業務提携の目的で保有する有価証券、持合株式などです。

その他有価証券は、「投資有価証券」の勘定科目で処理します。

貸借対照表価額は、「時価」です。

ただし、取得価額と額面金額の差額が金利調整差額と認められる債券は、償却原価法による「償却原価」を計算した上で、償却原価と時価との差額を、評価差額として処理します。

市場価格がないものの貸借対照表価額は「取得原価」です。

その他有価証券の時価評価については、

「純資産直入法」と「税効果会計」という2つの論点があります。

この2つの論点については、次回の記事でくわしくお届けする予定です。

おわりに

いかがでしたか?

有価証券は、覚えることが多めなので、学習がスムーズに進まないこともありますよね。

そんなときは、休憩を多めに取りながら、リラックスを意識して学習に取り組んでみるのもいいかと思います。

疲れたときは、ゆっくりと。

自分のペースを大切にやっていきましょう~!

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