マイクロ法人の年間維持費は?最低限かかる金額を計算してみた

 代表者ひとりだけの法人は、マイクロ法人と呼ばれることがあります。

 近年、資産形成の重要性や働き方の多様化がクローズアップされるなかで、資産管理会社を設立したり、副業を法人化するといった話題が以前よりも一般化してきているように思われます。

 こうした場面で、マイクロ法人という形態が活用されることは珍しくありません。

 しかしながら、

「法人を設立するって、お金がかかるんじゃないの?」

「毎年の維持費は、どれくらいかかるの?」

というのは、気になるところ。

 当記事では、マイクロ法人を設立した場合に毎年かかる維持費について、具体例をみながら確認していきます!

この記事でわかること

マイクロ法人の維持費、具体的には何がかかる?

 マイクロ法人を設立したら、最低限これだけはかかる、という支出として、次の3つがあげられます。

法人住民税の均等割

代表者の社会保険料

オフィス(本店所在地)賃料

 これらは、たとえ赤字であっても、法人が存在しているだけで発生してくるもの。

 さっそく、それぞれの内容を見ていきましょう。

法人住民税の均等割

 法人住民税とは、法人が、本店所在地の自治体に対して支払う税金の総称。

 自治体によって、法人市民税・法人県民税・法人都民税などと呼び方が変わります。

 法人住民税は【均等割】部分と【法人税割】部分に分かれており、均等割の部分は、法人が赤字であっても発生します。

 法人住民税【均等割】の金額は、多くの自治体で年間70,000円です。

(内訳は、県に20,000円・市に50,000円)

 なお、これは、資本金の額が1,000万円以下の場合にかかる金額。

 資本金の額が1,000万円を超えると、均等割の金額も増加します。

代表者の社会保険料

 代表者に報酬を支払うときは、厚生年金保険に加入する必要があります。

 厚生年金保険の掛金は、年金部分と健康保険部分に分かれており、いずれも労使折半ですが、自分の会社であるため全額を自分で支払います。

会計処理は、法人負担分を会社の法定福利費に計上。個人負担分は代表者報酬から天引きし、支払いの時まで預り金に計上します。

 掛金の金額は代表者報酬の額によって変動し、たとえば東京都の場合、最低額は以下のとおりです。

代表者が40歳以上:年金部分16,104円+健康保険部分6,670円  計22,774円/月

 ⇒ 年間273,288円

代表者が40歳未満:年金部分16,104円+健康保険部分5,747円  計21,851円/月

 ⇒ 年間262,212円

※いずれも令和7年度分の金額。上記の最低額は月額報酬が63,000円未満のときに適用されます。都道府県ごと・報酬月額ごとの保険料は、協会けんぽのHP(こちら)に掲載されています。

 なお、代表者報酬がなく厚生年金保険に加入できないときは、別途、国民年金や国民健康保険などに加入することとなります。

オフィス(本店所在地)賃料

 法人のオフィスを借りる場合にかかる費用です。

「オフィスなんてわざわざ借りないで、自宅にするつもりだけど?」

と思われたかたもいらっしゃるでしょう。

 おっしゃるとおりで、自宅を法人オフィスにすることも、もちろん可能です。

 しかしながら、法人の本店所在地は登記簿に記載され、公表されることには注意が必要。

 自宅の場所が公表されることに抵抗がある、と考える場合は、登記上の住所としてオフィスの賃借を検討することになります。

 また、自宅が賃貸物件や分譲マンションである場合、賃貸契約や管理規約で事業用の使用が禁止されている場合も

 こうした事情の解決策として、近年では、バーチャルオフィスやシェアオフィスといったサービスを利用する方も多くなっています。

 バーチャルオフィスにかかる金額の例として、業界大手のGMOオフィスサポートが運営するバーチャルオフィスの場合、法人登記が可能なプランの最低額は1,650円/月。

(月1回の郵便転送サービス付。2025年5月現在)(参考:GMOオフィスサポートHP

 また、オフィスを実際に利用できるシェアオフィスの場合、設備や立地にもよりますが、おおむね月10,000円程度~の価格設定のところが多いようです。

マイクロ法人の維持費は年間いくらかかる?

 ここまで見てきた支出の金額は

・法人住民税の均等割 7万円

・代表者の社会保険料 約27万円

・オフィス(本店所在地)賃料 約2万円(上記バーチャルオフィスの例)

 これらを合計すると、マイクロ法人を維持するために毎年かかる金額は

年間 約36万円

という結果になりました。

 といっても、法人の状況によって結果は変わってきますので、

この例は、ひとつの参考としてとらえていただけると幸いです。

 なお、代表者の社会保険料はマイクロ法人設立による純粋な負担増というわけではなく、個人で事業を開業した場合にかかる国民年金や国民健康保険と比較して、少なく抑えられるケースも。

 マイクロ法人設立のメリット・デメリットについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてくださいね。

 当記事が、新たなステップを踏み出される皆さまのお役にたてるとうれしく思います。

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