事業で使用するためのパソコン、タブレット、または車両など……。
こうした備品を中古で購入するという場面、よくあるのではないでしょうか。
事業資金を効率的に使えますし、サステナブルの観点からも中古品の活用はすばらしいこと!
でも、中古品を買ったときの会計処理ってどうなるの?
新品を買ったときと、なにか違う点があるの?
そう思われたかたもいらっしゃるかもしれません。
今回の記事では、中古品を購入したときの必要経費(減価償却費)の計上について解説していきます!
中古で物品を購入したときに、最初に確認すべきこととは?
事業用の資産を中古で購入したときに、最初に確認すべきこと。それは、
中古で購入した資産が、減価償却資産か、そうではないのか。
減価償却資産とは、「使用可能期間が1年以上」かつ「取得価額(購入価格)が10万円以上」で、使用年数の経過につれて価値が減っていく資産をいいます。
中古で購入した資産が、減価償却資産でない場合、たとえば、販売用の商品(棚卸資産)や、消耗品などであるときは、新品でも中古でも会計処理は同じ。
この場合は、新品を購入したときと同様、支払った価格で仕入や消耗品費に計上すればOK。
ここからは、新品と中古で会計処理が異なるケース、
すなわち
中古で購入した資産が減価償却資産であるときの会計処理について見ていきます!
中古資産の減価償却、新品との違いは【耐用年数】にあり
中古で購入した資産が減価償却資産であるときは、新品の場合と会計処理が異なります。
どこが異なるのでしょうか?
答えは、「耐用年数」。
耐用年数とは、簡単にいうと、「使用可能年数」のこと。
減価償却資産を購入したときは、その購入価格の全額をその年の経費にすることはできず、
その資産が使用可能な年数にわたって分割して経費に計上していく「減価償却」の計算をすることになっています。
新品の場合は、この使用可能年数は資産の種類ごとに法令で決められた「法定耐用年数」を使用します。
しかし中古品の場合は、すでに誰かが一定期間使ったものなので、新品のときより使える年数が少なくなっているはず。
ですので、中古品はその品物ごとに耐用年数(使用可能年数)を見積もる必要があります。
ここが、新品の場合と大きく異なるポイント。
言い換えると、減価償却費の計算のなかの「耐用年数」以外の部分は、新品の場合と同じ。
減価償却費の計算方法については、こちらの記事(個人事業の減価償却資産とは?減価償却で必要経費に計上する方法を解説【定額法】)でくわしく解説していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
耐用年数の見積もりの方法とは?
中古の減価償却資産を購入したとき、耐用年数は何年にすればよいのでしょうか。
まず、原則的には、「その品物ごとに使用可能期間を見積もる」とされています。
でも……、
実際、中古で買ったパソコンや車があと何年使えるかを根拠をもって見積もるなんて難しいもの。
ですので、見積もりが難しいときの計算方法が法令で用意されています。
その計算方法とは、
① 法定耐用年数の全部を経過した中古資産は、
法定耐用年数の20パーセントの年数を耐用年数とする
耐用年数 = 法定耐用年数×20%
② 法定耐用年数の一部を経過した中古資産は、
残りの年数に経過年数の20パーセントの年数を加えた年数を耐用年数とする
耐用年数 = (法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)
(注意点)
①または②で計算した年数が2年より少ないときは、2年とします。
計算した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。
根拠法令等:減価償却資産の耐用年数等に関する省令3①二
というもの。
次の項目では、この計算方法を使って実際に耐用年数を計算してみましょう。
中古資産の耐用年数の計算【具体例】
たとえば、中古の冷蔵庫(経過年数2年)を購入したケースを考えてみます。
新品の冷蔵庫の法定耐用年数は6年。(参考:国税庁HP主な減価償却資産の耐用年数表)
上でご紹介した計算式②(法定耐用年数の一部を経過した場合)にあてはめると
(法定耐用年数6年-経過年数2年)+(経過年数2年×20%)
= (4年)+(0.4年)
= 4.4年
⇒ 耐用年数は「4年」
※1年未満の端数を切り捨て
したがって、この場合の耐用年数は4年として、減価償却の計算をします。
減価償却の方法は、こちらの記事(個人事業の減価償却資産とは?減価償却で必要経費に計上する方法を解説【定額法】)にくわしく解説していますので、ぜひご覧くださいね。
耐用年数以外の部分は、新品を購入した場合とまったく同じ計算方法になります。
まとめ
いかがでしたか?
中古の減価償却資産を購入したときは、耐用年数が新品と異なることに注意が必要です。
中古資産を活用して事業を効率化し、無理のないビジネス展開につなげられるとすばらしいですね。
当記事がビジネスに取り組まれるみなさまのお役に立てると幸いです。
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