【個人事業】売上はいつ計上する? 前払い/後払いの注意点をチェック

 売上代金は、販売と同時に入金されるとは限りません。

 後払い、場合によっては前金として先に受け取る場合もあるでしょう。

 当記事では、こうしたさまさまな取引において、売上の金額はいつのタイミングで計上すべきなのかをわかりやすく解説していきます!

この記事でわかること

なぜ、売上の計上タイミングが重要なのか

 そもそも、なぜ売上の計上タイミングに気をつける必要があるのでしょうか。

 理由は、確定申告の税額計算に影響があるから

 たとえば、2025年に計上すべき売上を誤って翌2026年に計上した場合、2025年の確定申告は売上が計上漏れになってしまいます。

 翌2026年の売上に計上していれば、結局プラマイゼロでは?と思われるかもしれません。

 しかし、所得税は所得が上がるほど税率が高い累進税率となっているので、仮に2025年の税率が20%・翌2026年の税率が10%であれば、税率の差が納税額に反映され、単純にプラマイゼロとはいきません。

 そして、もし税率が同じであったとしても、税務署に計上時期の誤り(期ずれとよばれます)を是正されると、2025年分の不足税額に対して延滞税や加算税といったペナルティがかかってしまいます。

どんな取引に注意すべき?

 では、実際どのような取引をしたときに、売上の計上タイミングに注意しなければならないのでしょうか。

 答えは販売のタイミング(商品納品やサービス提供のタイミング)と、代金が入金されるタイミングが異なる取引。

 このような取引では、代金が入金されたときではなく、販売をしたときに売上に計上しなければならないからです。

 具体例をみていきましょう。

例1 代金後払いの取引

 ネット販売やキャッシュレス取引が年々増加し、販売の時点では入金されず、月末払いや翌月払いになる取引形態が増えています。

 このようなケースでは、実際の入金がまだであっても、販売の時点で売上に計上しなければなりません。

 複式簿記の場合、販売したときの仕訳は、

売掛金 〇〇円 / 売上 〇〇円

となります。

 後で入金がされたときの仕訳は、

現金預金 〇〇円 / 売掛金 〇〇円

となります。

例2 代金前払いの取引

 次は、先ほどとは逆に、販売より前に代金を受け取っているケースです。

 たとえば回数券を事前に購入する形態の取引。

 美容・リラクゼーションの分野などでは一般的かもしれません。

 このようなケースでは、先に入金がされていても、その時点の売上とせず、実際に販売(サービスを実施)をした時点で売上に計上しなければなりません

 複式簿記の場合、先に代金を受け取ったときの仕訳は、

現金預金 〇〇円 / 前受金 〇〇円

となります。

 実際に販売(サービスを実施)したときの仕訳は、

前受金 〇〇円 / 売上 〇〇円

となります。 

年末年始にかかる取引は特に気を付けよう

 所得税の確定申告は、暦年(1月~12月)で所得を計算します。

 したがって、実際に販売をしたタイミングと入金のタイミングが年末年始をまたぐ場合は、売上計上のタイミング誤りが確定申告の誤りに直結するため、この時期の会計処理は特に気を付けることを心がけると安心です。

 逆に、年をまたいでいなければ、多少の計上時期の誤りがあっても通常は大きな問題にはならないともいえます。

入金ベースで売上を管理できる特例も

 ここまで説明してきたように、売上の計上時期は、代金が入金されたときではなく、商品を販売したり、サービスの提供をしたとき(=代金を得る権利が確定したとき)が原則です。

 しかし、税務署に届出をすることで、入金ベースで事業の損益を計算できる特例があります。

 この特例は「現金主義による所得計算の特例」といい、適用を受けられるのは、青色申告をしていて、かつ、前々年の所得が300万円以下のかたに限られます。

 詳しくは、国税庁HP(こちら)に掲載されています。

 ただし、この特例を適用すると、55万円の青色申告特別控除は受けられなくなることには注意が必要です(10万円の青色申告特別控除は適用可)。

まとめ

 いかがでしたか?

 事業の売上の計上については、商品の販売・サービスの提供をするタイミングと代金入金のタイミングがずれるとき、特にそのずれが年末年始をまたぐときに誤りが起こりやすいことに注意が必要です。

 当記事がみなさまのお役にたてれば幸いです!

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