個人事業で青色申告をするメリットとは?

 個人で事業を開業したら、税務署に個人事業の開業届出書を提出します。

 このとき、ぜひあわせて提出しておきたいのが、青色申告の承認申請書

 個人事業で青色申告をするメリットを確認してみましょう。

この記事でわかること

青色申告制度とは?

 個人事業の青色申告制度とは、個人で事業をおこなっている方が、一定以上の水準で記帳をし、正しく申告をしている場合、所得税の計算において有利な取り扱い(特典)が受けられる制度です。

 受けられる特典には、たとえば、次のようなものがあります。

① 青色申告特別控除:課税される所得の金額を、一定額減額できる

② 純損失の繰り越し:事業が赤字になったときに、赤字の金額を翌年以降に繰り越すことができる

 では、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

特典1 青色申告特別控除

 青色申告特別控除とは、所得税が課税される所得を、一定額減額できる制度。

 青色申告特別控除で減額できる金額は、10万円・55万円・65万円の3種類があります。

 たとえば、ある年の個人事業の損益が200万円の黒字になった場合。

 青色申告の承認を受けていない個人事業主は、200万円を起点に、課税される所得を計算します。

 一方、青色申告の承認を受けた個人事業主は、200万円から青色申告特別控除(10万円・55万円または65万円)を差し引いた金額(190万円・145万円または135万円)を起点に、課税される所得を計算します。

 課税される所得が少なくなるため、その分だけ算出される税額も少なくなるというわけです。

 たとえば所得税の税率が20%の人であれば、65万円の控除の有無によって、所得税の額に13万円も差が出ます

(所得税の税率は累進課税となっており、税率は所得の金額によって税率は5%~45%に変動します)

 さらに、多くの自治体において、住民税や国民健康保険料も、青色申告特別控除の金額を差し引いた後の所得から計算されるため、その分の差も発生。

 青色申告特別控除は、毎年の税金や保険料の計算結果に直接影響してくる、とても大きなメリットです。

特典2 純損失の繰り越し

 事業をしていると、毎年の経営の状況によって、赤字(損失)になることがあるかもしれません。

 純損失の繰り越しとは、ある年の青色申告の事業が赤字の場合に、その赤字(純損失といいます)を翌年に持ち越せる制度。

 こちらも、具体例で見てみましょう。

 2025年の所得が100万円の赤字、翌2026年の所得が300万円の黒字になったとします。

 青色申告の承認を受けていない個人事業主の場合は、2026年の所得税を計算する際、黒字の金額300万円を起点に、所得税が課税される所得を計算します。

 一方、青色申告の承認を受けた個人事業主は、前年の赤字100万円を確定申告しておくことで、翌2026年の黒字300万円から100万円を差し引くことができます。

 つまり、2026年の所得税を計算する際は、差し引き後の200万円を起点に、課税される所得を計算することになります。

 100万円を差し引くことで、所得税の税率が20%の人であれば、所得税の計算結果に20万円もの差が出ます

 多くの自治体では、住民税や国民健康保険料も純損失を差し引いた後の所得から計算されるため、その分の差も発生。赤字の額によっては税金や保険料の計算結果に非常に大きな影響が出てきます。

 なお、純損失の繰り越しは、最長3年後まで可能となっています。

 事業を開業した直後は、軌道に乗るまで赤字が先行することも多いもの。

 数年後に黒字に転換したとき、それまでに累積した赤字を差し引くことができれば、黒字にともなう税金や保険料を軽減し、その分をさらなる事業転換のための資金に回すこともできるでしょう。

まとめ

 いかがでしたか?

 青色申告は、税金や保険料を軽減できる大きなメリットがある制度です。

 個人事業を始めたら、ぜひ青色申告の承認申請書を提出してメリットを活用できるようにしましょう!

 承認申請書の提出方法については、こちらの記事でくわしく解説しています。

ぜひ、あわせてご覧くださいね。

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